リチウムイオン電池は携帯電話やタブレットの普及を可能にすることで、私たちの生活をすでに変えています。 現在、このテクノロジーは、輸送の電化と再生可能エネルギーへの移行を推進するのに役立っています。 事実、リチウムイオン電池は技術の進歩に欠かせない存在となっているため、2019年にリチウムイオン電池の発明者はノーベル化学賞を受賞しました。
バッテリー人気の幕開け
1990年代以降、リチウムイオン電池の製造量の伸びは、スマートフォン、タブレット、ノートパソコンなどのポータブル家電製品の需要の高まりに支えられてきました。 ただし、ポータブル家電製品が重要なセグメントであり続ける一方で、電気自動車の開発によってバッテリーの需要は一気に急増する見込みです。 欧州委員会によると、世界の電気自動車は、2018年には400万台だったのが2028年には5千万~2億台になり、2040年には9億台に達することが見込まれています。
また、再生可能エネルギーへの移行により、貯蔵用リチウムイオン電池の需要が増加する見通しです。 太陽光発電と風力発電は断続的な供給源であるため、化石燃料ほど頼りにはなりません。 ただし、リチウムイオン電池は貯蔵容量を提供することで、再生可能エネルギーの信頼性と実用可能性を格段に高めることができます。
リチウムイオン電池はテクノロジーの強大な成功要因であり、特に欧州では脅威的な製造能力の拡大を促進するでしょう
「リチウムイオン電池はテクノロジーの強大な成功要因であり、特に欧州では脅威的な製造能力の拡大を促進するでしょう」と、Kanthalの再生可能エネルギーのグローバルセグメントマネージャー、Sachin Pimpalnerkarは言います。
少ないスペースでより多くのエネルギーを
生産能力の増強に加えて、バッテリーメーカーが注力すべきは、 バッテリーのエネルギー密度の継続的な向上と、コストの大幅な削減の2点です。
「今日の電気自動車は走行距離が限られており、充電に時間がかかりすぎ、コストも高すぎます」とPimpalnerkarは言います。 「電気自動車のコストのほぼ30~40パーセントはバッテリーそのものにかかります。 しかし、エネルギー密度が向上しているため、同じスペースでより多くのエネルギーを得ることができ、価格も下がり続けています。 近い将来のある時点になったら、燃焼機関に匹敵するものになるでしょう」
2010年から2023年にかけて、リチウムイオン電池パックの平均コストは、1,160米ドル/kWhからわずか100米ドル/kWhに低下すると予測されています。 最新の予測によると、2024年には価格がkWhあたり100ドルを下回る可能性があり、これは電気自動車が従来の燃焼機関と同等になる価格点です。
製造拡大
この需要を満たすには、現在の製造量は今後数年間で指数関数的に増えなければなりません。 世界的な調査およびコンサルティング会社であるWood MacKenzieによると、リチウムイオン電池の累積容量は、2021年から2030年の間に5倍以上の5,500 GWhになると予測されています。 一方、2023年の中国の容量は800 GWhに達すると予想されています。
この製造能力拡大は、原材料への需要に波及効果をもたらします。
McKinsey & Companyの調査によると、抽出と供給源のための新しい技術により、そのギャップを埋めることができます。 東欧、メキシコ、米国、カナダ、そして一般的にリチウムの採掘が行われていない地域であるタイ、英国、ペルーなどなど、新たなプレーヤーや地域がプロジェクトのパイプラインによって 市場に導入される可能性があります。
McKinseyの調査によると、油田の廃水からリチウムを抽出するなどの技術開発は、新しい供給源になる可能性があります。 同様に、DLP技術と呼ばれるリチウムから製品への直接プロセスの新しい方法が成功すれば、供給に大きな影響を与える可能性があります。
一方、電池のリサイクルは、この10年間に増加すると予想されますが、低い水準にとどまっています。 2030年までに、この二次供給は総リチウム生産量の約6% を占めると予測されています。
「リチウムイオン電池の需要が急速に高まるにつれて、世界のリチウム生産者は、環境への影響を最小限に抑えた新しい改良されたリチウム精製所に投資しています」とPimpalnerkar氏は述べています。 「リチウムを抽出する加熱工程では、他の高温製造プロセス同様、CO2やNOxなどの有害ガスの排出を最小限に抑え、エネルギー効率と生産性を最大化し、安定した品質を確保することが課題となっています。 ここでKanthalの電熱システムの出番となります。」